ボディーガードにモノ申す!
「いいなぁ、エミリ。かっこいいなぁ、ヤマト……」
ため息まじりにつぶやいて、すっかりぬるくなったビールをゴクリと飲む。
ここ2年くらい、恋愛ドラマはありえない設定のものよりもそのへんにありそうな設定のものを好んで見るようになっていた。
それはきっと自分自身がそういう恋愛を求めてるんだな、となんとなく思う。
でも、でも、でも。
いかんせん出会いが無い。
潤いが無い。ときめきが無い。
━━━━━え?
ときめきって何だっけ?
ヤマトみたいな人が目の前にいたら、そりゃあドキドキして挙動不審になるだろうけど。
そんな人いるわけでもないし。
私はエミリにはなれないし。
ドラマだの漫画だの、そんなもので心を満たすようになってきた自分が虚しくもなるけれど、最終的にはこの生活も意外と楽しいかもという結論に至る。
そうして私は自分を正当化しているのだ。
キムチときゅうりは完食し、スモークチーズは袋にしまって冷蔵庫へ。
飲みかけのビールを流し込み、のろのろと浴室へ向かった。
今夜もまた、シャワーのみ浴びてすぐに寝よう。
明日は早番だ。
ものの10分で浴室から出てきて、素っ裸でウロウロする。
干しっぱなしの洗濯物の中から下着を取って身につけた。寝る時はノーブラ派なので適当にそのへんに丸まっているロンTに袖を通す。
ドライヤーで髪の毛を乾かすものの、乾き切るまで時間がかかるから面倒で。結局生乾きのまま寝ることが多い。
明日起きたらエミリになってないかな、とくだらない妄想をしながら電気を消してベッドに横たわり、いざ寝る体勢になった時。
枕元で充電していた、私のスマホが突然鳴った。