ボディーガードにモノ申す!
目覚めは悪くなかった。
昨夜は寝る直前に奇妙な電話が来たからどうなることかと思ったけれど、さすがそこは無神経な干物女かつオヤジ女子。
仕事の疲れもあって、5分ほどで眠りにつけた。
充電器から外したスマホを確認するけれど、あれから誰かから電話が来た形跡はない。
やっぱり何かの間違いだったのね。
少しホッとしつつ仕事へ行く準備を進める。
髪の毛をコテで緩く巻いて、軽く編み込んでサイドへ流す。ほつれてくるところはピンで留めて、ものの10分でヘアアレンジは完成だ。
メイクも時間はかけない主義なので、10分ほどで終わらせた。
朝の情報番組で天気予報を確認したら、今日は1日を通して晴れるらしい。
せっかく春なんだし、明るい気分になりたいからこの間買ったばかりのイエローのパンプスでも履こう。
7.5センチのヒールの、脚が綺麗に見えるやつ。
足元が明るいから、服は落ち着いたものを選ぶ。
薄手の黒いVネックのニットに、白のスキニーパンツを合わせた。
腕にイエローとネイビーをあしらったゴールドを基調とした大ぶりなバングルをつけて、靴の色を少し意識する。
ピアスはパールのシンプルなものをつけておいた。
ベージュのバッグを掴んで、慌ただしく部屋を出る。
鍵をかけて施錠確認をしているところで、隣の部屋からちょうど杉田さんが出てきた。
「あ、広瀬さん。おはようございます」
「おはようございます、杉田さん」
穏やかな杉田さんの雰囲気に合わせて、私もやんわり微笑みつつ挨拶をした。