ボディーガードにモノ申す!
丸メガネが良く似合う、真面目そうな杉田さん。優しそうだし頭良さそうだし、いい人なのは一目瞭然。
身長もあるし、スタイルはいい。地味っぽさは拭いきれないけど本屋の店員さんと聞けば納得のいく佇まいだ。
だけど、お付き合いの対象に入るかと言ったらそれは『無し』である。
突然、男の査定を始めた私。
昨日のドラマの影響だ。
ヤマトほどの男を探すつもりは無いが、そろそろときめきは欲しくなってきた。
誰か私にリアルなときめきをくれる人がいたらいいなぁと思って、申し訳ないけど杉田さんを査定してみたのだ。
「……は、何を食べたんですか?」
ボーッとしていたら、杉田さんの言葉を聞き逃した。
慌てて「え?」と聞き返す。
彼は嫌な顔ひとつせず、質問を繰り返してくれた。
「昨日の夜は、何を食べたんですか?いつも買ってきたのを食べてるんですよね、確か。僕は昨日はのり弁買っちゃいました」
「あ、夕食ですか!私は昨日はランチでガッツリ系食べちゃったんで、夜はシーザーサラダ買って、あとはおつまみとビールを……」
「へぇ、家でも飲むタイプなんですね」
「………………引きます?オヤジ女子ですかね?」
「全然!こんなので引く男なんていませんよ」
目にも止まらぬ速さで右手を振って否定してくれた彼。逆に気を遣われているような気もしなくもない。
彼の優しさということで胸にしまっておこう。
「杉田さんは優しいから引かないかも知れませんけどね。いるんですよ、世の中には。オヤジ女子じゃなくてオヤジだなーなんて言ってくるようなヤツが」
「失礼な男ですね」
「でしょ?しかも初対面で!」
もう名前なんて忘れてしまったけれど、佳織ちゃんと行った居酒屋で隣のテーブルにいたあの失礼な塩顔男。
あいつのニヤけた腹立たしい顔だけは忘れるまい。