ボディーガードにモノ申す!
「誰でもいいです、守っていただけるのであれば……」
半分投げやりに言うと、西島社長はニッコリ微笑んでそばにあった内線電話でどこかへ電話をかけた。
「……あ、俺俺。そう、俺。うん、お客様。個人の警護要請だ。綺麗な女性だぞ〜、運がいいな。はいはい、下で待ってるよー」
なるほど、私の担当になる人を紹介してくれるわけだ。
しかしここで重要なことを思い出した。
「あ、あの!まだ料金の話を聞いてませんでした……。あまり高いようだったらやめるかもしれないのですが大丈夫ですか?」
「そうだったね、忘れてた!」
ペチッと額を叩いてテヘペロする社長さん。
可愛くもなんともない。
ただのおトボケなおっさんにしか見えない。
「ウチは個人警護だと基本的に1時間単位でもらってます。本来は1時間四千円になりますが、コタローの紹介だから半額です」
「え!半額!?いいんですか!?」
「うん。コタローは私の甥っ子でね。だから彼の紹介なら半額にしてあげてるの」
「ありがとうございますっ!」
ということは。
1日大体三千円かかるとして、1ヶ月の間の休みを抜いて考える。
普通に考えたら高いけど、この際ワガママなんか言ってられない。
とりあえず1ヶ月身辺警護してもらって、何も無ければやめればいいことだ。
それに、独り身ゆえに貯金はかなりある。
切り崩せばどうとでもなる。
「では、契約成立ですね。契約書類などを用意するので、少しお待ち下さい」
西島社長はそのように言い残し、席を立ってどこかへ行ってしまった。