ボディーガードにモノ申す!
大谷ドミソの話で盛り上がった後、私は駅から電車に乗って職場の最寄り駅まで30分揺られた。
杉田さんのおかげで少し元気が出た。
家に帰ったら寝る前にゆっくり大谷ドミソの曲を聴こう。
仕事前のルーティンでもあるカフェに立ち寄り、お決まりのコーヒーを注文。
レジを担当してくれたのは、年下イケメンの貝山くんだった。
「あれ、今日は背が低いんですね」
貝山くんが私の頭の先を眺めながらそんなことを言ったのだ。
何のことか分からず、「ん?」と首をかしげる。
目が点になっているらしい私に、彼は笑顔で説明してくれた。
「突然変なこと言ってすみません。身長が高いイメージがあったんです。でも今日はなんだか低いような気がして」
「あっ……、靴のせいかもしれないです。いつもはヒールだけど、今日はぺたんこだから」
「こういう表現が合ってるのか分かりませんけど、ヒールを履いていると綺麗なのに、そうじゃないと可愛いですね」
「そ、そそ、そんなことないからっ!もう、お世辞がうまいんだから〜」
ボンッ!と音が聞こえるほどに一気に顔が赤くなってしまった。
年下男子の褒め言葉は胸が高鳴ってしまってキツい。
小悪魔なのか、彼は!
現に彼はニコッと屈託のない笑顔で、私にお釣りを渡しながらさりげなく手を握ったのだ。
「俺、お世辞なんて言わないですよ。本当にそう思ったから言ったんです」
コーヒーを受け取って席についた私は、朝から2人の男性にいい具合にドキドキさせられ、一体なんなんだと息をついた。
なんで急にこういう展開になるのか。
もしやようやくこの私にも到来したのか、モテ期というやつが!
小躍りしそうな心を押さえつけて、苦いコーヒーをグイッと喉に流し込んだ。