ボディーガードにモノ申す!
そうして職場に着けば、お店の店長である橋浦さんにこき使われる。
「広瀬、小物の棚の見せ方が足りない。工夫して」
「広瀬、スウェードサンダルのМの在庫が少ない。絶対売れるからメーカーに問い合わせして」
「広瀬、今期AWの展示会の日程が出たから、とりあえずいつものブランドだけ参加のFAXしておいて。他のは後で俺が見ておく」
「広瀬、のど飴買ってきて」
「広瀬、マックのポテト食べたい」
「広瀬」
ええぃ、仕事ならまだしも喉が痛いのとかポテト食べたいのとか、欲求を私に押し付けるんじゃない!
……と言いたいけれど、今日は佳織ちゃんの接客が冴え渡ってお客様が途切れない。
なので私が店長の雑用を引き受ける。
「悪いな。帰りにクリスピードーナツでも買ってこいよ。元木の分も頼む」
橋浦さんが五千円札をくれた。ラッキー!
クリスピードーナツ、ゴチになります!
私はお使いを頼まれた小学生のように、五千円札を握りしめて気分良くお店を出る。
外は暑いくらいの陽気で、上着なんていらない。
むしろ夏日に近いような暑さだった。
行き交うサラリーマンやOLたちはジャケットを脱いで腕にかけながら歩いていた。
お使いついでに、と新しい下着でも買おうと思って自分のお財布も持ってきたので、ファッションビルに入り込んだ。
いつも下着を買う良心的な価格のお店に入り、適当なブラとショーツのセットを3つ購入してそそくさと出た。
少し前から気になっていたのだ。
家にあるブラがほとんどヨレていたことに。
これで胸にワイヤーが当たって痛いブラとオサラバできる!
お次は橋浦さんに頼まれたのど飴でも買うか、と移動を始めた。
その時。