ボディーガードにモノ申す!
ファッションビルを大股で出て、近くのコンビニに入る。
そこでのど飴をひと袋購入。橋浦さんお気に入りのハッカ入りのものだ。
続いて少し歩いたところにあるマクドナルドへ。
学生などで混み合う店内でフライドポテトのLサイズをテイクアウトし、揚げたての熱々のものを紙袋に入れてもらってお店を出た。
無言で歩く。無言で歩く。
次の目的地はクリスピードーナツだ。
ひたすら無言で歩く。
無言で………………。
「あーーー、もうっ!なんなのよ!!」
ついに私は立ち止まり、金魚のフンのように後ろについてくる男に文句を言った。
「ついてこないでよ!私の職場を見に行くって言ってたじゃない!1人でそっち行ってくれませんか?」
「あれ、後ろにいるの気づいてたの?」
「当たり前でしょ!」
真山武はニヤリと口角を上げて笑いながら、長身を生かして斜め上から私を見下ろしていた。
そんなにやけ顔の男をキッと睨んで、腕を組んで説教モードに入る。
「まさか昼間から警護してるつもりじゃないでしょうね?言っておきますが依頼してない時間の料金はお支払いしませんよ」
「君の歩く時のクセとか、人と話す時の仕草とか、そういうのをチェックしてたの。邪魔はしないから気にしないで」
「気になりますっ!ずっと後ろにいられると嫌でも視線を感じるっていうか」
「その警戒心、最初から持つべきだったんじゃない?下着屋あたりまでは俺の存在に気づきもしなかったくせに」
うっ、と痛いところを突かれて反論できない。
再び歩き出した私は、もうこうなったら徹底的に後ろの男を無視してやることを決意した。