ボディーガードにモノ申す!
口にすればするほど虚しくなる文句をブーブー垂れていたら、富夫くんがニッコリと笑った。
「僕の会社の後輩でね、26歳の素敵な子がいるんだけど。彼女欲しいみたいでさ、椿ちゃんにぜひ紹介したいなぁって思ってたんだけど、どうかな?」
「今夜、仕事終わったら合流してくれるって言うのよ!4人で飲み会しちゃおうよ!」
畳み掛けるように清恵が意気揚々と私を見つめてくる。その瞳は楽しげで、くっつける気マンマンだ。
私だってノリノリで「行く行く!」と挙手したい。
この際年下だろうが年上だろうが、そんなの関係ない。
無条件に私を愛し、ピンチの時に駆けつけてくれる人がいてくれるなら………………。
そう思ってはいるものの、現実問題として重要なことがある。
「ごめん、夜はあんまり出歩かないようにしてるから。ランチしたら帰るつもりだったし……」
あの夜道での出来事は、思った以上に私を苦しめていた。
こんなの自分でも驚いてしまうのだけれど、日が沈んでから1人で歩くのが怖くなってしまったのだ。
やんわり断ったので、心情を察してくれたらしい清恵が「大丈夫よ」とガッツポーズを作る。
「なんなら、帰りに彼に送ってもらえばいいじゃない。てゆーかタクシー使いなさいよ」
「ボディーガード雇ってるからなるべく無駄遣いしたくないの。それに関係ない人を巻き込みたくないし、落ち着くまでは恋愛はいいかな……」
「椿〜!せっかくのチャンスなのに〜」
不満たっぷりの清恵に、私はごめん、とつぶやくように謝った。