ボディーガードにモノ申す!
マフィンショップは路面店なので、歩道にお客さんが並んでいた。
ザッと見ても30人近く並んでいるように見える。
だいたいが若い女の子で、ところどころにカップルがいる。
列の最後尾に並んだ時に、前方の異変に気がついた。
私の目の前、すなわちすぐそばに並ぶ異質な2人組。その人たちの存在は、どう見てもおかしかった。
キャッキャとマフィンにはしゃぐ女の子たちの後ろで、いい大人のやたらと身長の高い男2人が並んでいる。
私はその後ろ姿に見覚えがあった。
━━━━━だって、ほぼ毎日会っているから。
目を疑って、何度も何度も二度見どころか三度見四度見して確認する。
しかし、確認すればするほど答えは確かなものになっていく。
真山武と、三上小太郎だ。
間違いない。
彼らは今日はスーツは着ておらず、2人とも私服だった。
真山は白とネイビーの細いボーダーのロンTにテーパードデニムを履いており、靴はエスパドリーユ。
隣の三上くんはチェックのシャツに七分丈のチノパンを合わせていて、ナイキのちょっとゴツいスニーカーを履いていた。
2人とも、案外服のセンスはいい。
販売員を職業にしている身としては、ファッションチェックは無意識にしてしまうのだ。
彼らは私には気づかずに、なにやら楽しそうに会話をしている。
立ち去るなら今しかない!
休みの日にまで真山と関わるのは絶対にお断りだ。
さっさと帰って、明るいうちから家でビールでも飲もう。
そんなことを考えながら、そっと列を抜け出そうと身を翻した。
すると、後ろから「あれ?」と声が聞こえた。
おそらく三上くんの声だ。
しまった!
と、思った時にはもう時すでに遅し。
私は真山に腕をガッチリ掴まれ、拘束されていた。