ボディーガードにモノ申す!
隣にいる真山の視線は、見なくても痛いほど感じる。
このドアを開けたら、私の今まで歩んできた適当な人生が……私の部屋が……私のものぐさっぷりが、ヤツにバレてしまう。
しかしもうここまで来たら腹を括るしかない!
どうにでもなれっ!!
私はグイッとドアを大きく開けて、玄関から入ってすぐ右側にある電気のスイッチをつけた。
パッと明るくなる玄関。
奥に見える薄暗いガラス扉の向こうには、地獄のような汚部屋が……。
「おっと、靴多いな」
私のすぐ後ろから真山の声がした。
ヤツは早速玄関に上がり込んできたらしい。
靴が散乱する玄関にやや驚いていたけれど、そこまで予想外ってわけでもなかったらしい。
「靴は隙間に置いてくださいね」
私はポイッと履いていたオペラシューズを脱ぎ捨て、そそくさと奥の方へ向かう。
続けざまに真山がやって来る。
思えばこの部屋に男を上げたのは、かつて数年前まで付き合っていた「秋本」以来だ。
今回は付き合ってもいない男を上げることになるとは……無念。
くもりガラスがはめ込まれた扉のドアノブに手をかける。
ゴクリと唾を飲み込んで、後ろにいる真山をチラリと盗み見た。
その涼しい顔がドン引くまで、あと5秒。
5、4、3、2、1………………。
部屋の電気をつけて、素早く扉を開いた。
その瞬間、私にとってはいつもの光景が視界に広がった。