ボディーガードにモノ申す!


びろろ〜んと伸びまくっているボーダーのロンTの裾を見下ろして、真山がうざったそうに顔をしかめてくる。
それでも私は彼を必死に止めながら懇願した。


「真山さん!お願いですからちょっと待ってください!」

「怖いのは分かるが大丈夫だ。今コタローに電話して……」

「朝からこの状態なんです、この部屋!!」

「え!?じゃあ昨日の夜に侵入されたのか?君の神経を疑うな、警察には通報しなかったのか?」

「そうじゃなくて!」


金切り声に近い声を上げながら、私は純粋に不思議がっている真山に真実を告げた。


「これは、私がやったんです。誰かに荒らされたとか侵入されたとかじゃなく、ずっと前からこんなんなんです。散らかってるだけなんです。整理整頓してないだけなんですっ」


━━━━━2人の間に、沈黙が訪れた。


真山はかしげた首を戻さぬまま、じっと私を見つめている。
逸らすわけにも行かないので、一応見つめ返しておいた。


まだ意味が分かってないのかな。
そうだとしたらなんと言えば分かってくれるのだろう。
汚部屋なんです、と胸を張って言ってみるか?


面倒くさいという理由で部屋を片付けなかった自分を猛烈に反省しつつある。
同時にいくらなんでも話の流れとはいえ、護身術を教えろなんて言わなきゃ良かったと後悔した。


この汚い部屋に他人を入れてしまった。
痒いものに手が届く空間に他人を入れてしまった。
ぐるぐると後悔と反省が頭の中を駆け巡った。


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