ボディーガードにモノ申す!


「あ、そういえば。大谷ドミソのツアーが発表されましたね!もちろん行きますよね?」


杉田さんと共通の話題でもあるお互いが大ファンのシンガーソングライター大谷ドミソ。
音楽通にくらいしか名前が知れ渡っていない人なので、大谷ドミソの話を気軽にできる人がそばにいるのは私もかなり嬉しかったりする。


それは杉田さんも同じようで、すぐに笑顔を浮かべた。


「チケット取れたら、一緒に行きませんか?」

「行きます行きますっ!何がなんでもチケット取りましょうね!……って今まで取れなかったことないから大丈夫かな」

「確かに。認知度低いですからね」


あはは、と2人で笑い合う。
丸いメガネが良く似合う大谷ドミソの真似をして選んだという、同じような杉田さんのメガネ。
そのセンスは嫌いじゃない。


それから私と彼は、あの曲が素晴らしいだのこの曲がグッとくるだの、非常に踏み込んだ楽しい時間を過ごした。
15分の徒歩時間が風のように過ぎていった。


「じゃあ、また。お仕事頑張ってください」

「はい、ありがとうございます」


杉田さんの本屋の前で、ペコペコと頭を下げあって別れた。



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