ボディーガードにモノ申す!
ちょっとだけ嬉しくなっていたら、その和やかな雰囲気を一変させるように私の携帯が鳴り出した。
バッグに入れたままの携帯を取り出して、画面を見てみる。
知らない電話番号からだった。
いや、この番号は……もしかして。
携帯の画面を見つめたまま動かない私に気づいて、真山が近づいてきて顔を寄せてきた。
手の中にある携帯画面を覗き込み、眉を寄せる。
「まさか、例の……無言電話ですか?」
「わ、分かんない……」
高揚感のあるドキドキが、この着信のせいで一気に恐怖感のあるドキドキに変化してしまった。
震えるまでいかないのは、真山がそばにいるからだ。
ボディーガードがそばにいるから多少は安心なのか、彼だから安心なのか、それはこの時に判断するのは難しい。
「で、出てみます」
勇気を出して電話に出ようとしたら、真山に手を握られて止められた。
「いや、出なくていい」
「でも」
「シッ。静かに」
真山は人差し指を立てて私を黙らせ、着信音が鳴り続ける中ゆっくりと2階通路からフェンスに身を乗り出して見下ろした。