ボディーガードにモノ申す!
数秒で辺りの様子を確認し終えた真山は、私の手から携帯を取り出して慣れた手つきで画面を操作して電話に出てしまった。
出なくていいと言ったのは彼なのに。
「もしもし、どちら様ですか」
電話を耳に当てた真山が冷静な声で問いかける。
しばらく経ったけれど、言葉を交わしている様子はない。
きっと電話の相手が応答しないのだ。
彼の横で怖々と次の展開に怯えていたら、唐突に真山が大きく息を吸い込んだ。
直後、こっちの心臓が止まるかと思うほどの大声で
「おーーーい!!」
と言った。
これが深夜なら近所迷惑に違いないほどの音量の声。
今度はこっちが人差し指を立てて真山を黙らせようと必死になった。
「ちょっと!何考えてんのよ!相手の人を逆撫でしたらどうするの!」
「万が一姿を現したとしても大丈夫です」
「なによその自信!」
「何がなんでも君を守るから心配ありません」
電話口を指で塞いで、向こうには聞こえないように言い放ったヤツの言葉。
不覚にも「守るから」という部分に心が反応してしまった。