ボディーガードにモノ申す!
真山はそっと電話を耳に戻したあと、「あ」とつぶやいてすぐに真っ暗になった携帯画面を私に見せてきた。
「電話、切れちゃいました」
「あ、当たり前でしょ!あれだけ大声で呼びかけたら相手もビックリするわよ!」
「でもひとつだけ分かったことがあります」
「え……なに?」
会話もしていないというのに、何が分かったというのだろう?
首をかしげていたら、真山が携帯を私に返してきた。そのついでに伝えてきた。
「その電話をかけてきた奴は、この近くにいたということです。俺たちのあとをつけてきたのか、それとも待ち伏せしてたのかまでは分からないですけど……」
「どうしてそんなことが分かるの?」
「今、俺は大声出しました。その声が時間差で電話からも聞こえてきたんです」
真山の、淡々とした話し方なのに内容が恐ろしいという事実に気づくまで、かなりの時間を要した。
相手が近くにいるかどうかの確認のために、大声を上げたらしい。
「もう逃げたかもしれないし、隠れてるかもしれないし。なんとも言えない。今日はしっかり戸締りをして、電源を切って寝るといい」
説明口調だったはずの真山が、いつもの言葉遣いになっていた。
心なしか私を気遣っているようにも感じた。