ボディーガードにモノ申す!


出勤前のルーティンでもあるカフェでコーヒーを飲む時も、店員の貝山くんに声をかけられた。


「広瀬さん、どうかしたんですか?顔色が良くないですね」

「え……、そう?」


ギクッとして顔をまさぐる。
寝不足気味なのは確かだけど、人に指摘されるほどだとは自覚が無かった。
それって接客業をする身としてはどうなのよ。


「体調はバッチリなんだけどなぁ」


若い子に見破られるのはちょっと悲しいので、そこはとぼけておいた。
貝山くんは心配そうな表情を浮かべて、私の身を案じてくれる。


「何か精神的に疲れることでもあったんじゃないですか?そういうのって無意識に顔に出るから……無理しないでくださいね」

「優しいね〜。ありがとう」


なんていい子なの!と感動しながらお礼を伝えた。
貝山くんはニコッと優しく微笑んでくれた。


接客の鑑とはまさに彼のことではないだろうか!
人の温かさに触れると嬉しくなるよね。


……とまぁこんな具合にアラサー女子は年下男子に癒されるわけだ。


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