ボディーガードにモノ申す!
━━━━━なんだかなぁ。
私、どうかしてる。
仕事が楽しくて仕方ないはずだったのに。
残業も喜んでやってたはずなのに。
早く帰りたい。
早く仕事を終わらせたい。
そうすればお店の外で、真山が待ってる。
そう思うようになってしまった。
恋に落ちるって感覚を忘れかけていたのか、思い出さないようにしてたのか。
でも、人を好きになるのにどれくらいの時間がかかるのかなんて、大した問題じゃないってことはこれまでの人生で学んだことでもある。
無言電話のことも、先日襲われたことも、もちろん怖い。
怖いんだけど、それ以上に真山が私を守ってくれるという安心感がドキドキする。
これは恋なのかな。
それとも、錯覚?
「ほほ〜。なんだ、広瀬。片想いってやつか。一方的に好きになっちまったんだろ」
なんにも話してないっていうのに、橋浦さんが私の気持ちを結論づけてきた。
だけど皮肉なことに、彼のその言葉がある意味決定打となった。
「そうかもしれないです……」
つぶやいて、バカね、と思う。
この歳でこんな状況で、人を好きになるなんて。
夢見がちなドラマのヒロインじゃあるまいし。
そんなの私らしくないのに………………。
いや、そうじゃない。
私はずっと憧れていたのかもしれない。
ドラマのヒロインに。
毎週欠かさず見ている『御徒町の恋人』のエミリとヤマトを羨ましいって思っていたじゃない。
その時点で私はすっかり夢を見ていたのかも。