たとえ声にならなくても、君への想いを叫ぶ。
だけど“それ”は、私がそんな満員電車の中の空気に、ようやく慣れてきた頃だった。
(……?)
─── 不意に、身体に感じた違和感。
さっきから、何かが私の身体に当たってる。
こんなにも密集しているのだから、それも仕方のない事なのかもしれない。
もしくは、私の立っている場所が悪いのかな?
そう考えて、私は身体を少しだけ、捻った─── のだけれど。
それが、今から始まる悪夢の引き金となってしまった。
「……っ、」
ぞわり、身体を一気に駆けめぐった悪寒。
その感覚に、不本意に背筋がピンと伸びた。
─── これは、違和感なんてものではない。
(誰かが……、私のお尻を触ってる)