たとえ声にならなくても、君への想いを叫ぶ。
教室を出た俺は、真っ直ぐに駅へと向かった。
そのままいつも通り電車に乗って、最寄駅で下車すると、その足で図書館へ向かう。
図書館に入ると自習室の横を抜け、本の森へ歩を進めて適当なところで立ち止まった。
手には、携帯電話。
その中からある画面を開いて─── 俺はすぐに、電源ボタンを押すと、それをポケットの中へと押し込んだ。
(……どっちみち父親に連絡がいくなら、自分から連絡した方がマシだって、わかってるけど)
これで担任から連絡がいって、何も言わなかった俺に父親が“やっぱり拗ねてるのか”なんて考えに至ったら、たまったもんじゃない。
やっぱり子供だな、なんて。
そんな風に思われたら俺は、赤の他人である担任の前で、父親を罵ってしまいそうだ。