たとえ声にならなくても、君への想いを叫ぶ。
「(……よかった)」
「うん?」
「(あ……、本当に良かったです!私、先輩に余計なこと言ってしまったって、ずっと心配してたので……。だから、お父さんとお話し出来たって聞いて、本当にホッとしました)」
慌てて携帯を手に持ち言葉を打つと、先輩へと画面を向けた。
すると、視線だけで文字を追った先輩は、一瞬だけ眉根を寄せたかと思えば私へと不満気な視線を寄越す。
「……心配してたのは、余計なことを言ったから?安心したのも、俺が父さんと和解したから?」
「(え?)」
「俺の姿が見えないから心配してくれた……、とかじゃないんだ。それか、俺とずっと会えなくて……寂しかった、とか」
「……っ、」
「……別に。いいけど」
それだけ言って、プイ、と前を向いてしまった先輩。
そんな先輩を見上げながら、必然的に心拍数が上がっていく。