たとえ声にならなくても、君への想いを叫ぶ。
は、恥ずかしい……!!
そう思い、慌てて背筋を伸ばせば、掴まえられていた手がゆっくりと離される。
彼のその手がなければ、私は今頃このホームで派手に転んでいただろう。
「……大丈夫?」
「……っ、」
その言葉に慌てて何度も頷くと、(ありがとうございます)という意味を込め、一度だけ大きく頭を下げた。
だけど、再び頭を持ち上げた私に彼は「そうじゃなくて……」と呟くと、電車の中で見たあの表情と同じように───
眉間にシワを寄せ、心底不愉快そうに表情を歪めたのだ。