たとえ声にならなくても、君への想いを叫ぶ。
 


「……明日から、もう夏休みか。なんか、高校生活もあと半年かと思うと、ちょっと寂しいな」



呟きながら空を仰いだ先輩に、ツン、と再び喉の奥が痛んで、涙が零れそうになった。


それを精一杯堪えて、私は手に持った携帯電話の画面を押すと先輩へと差し出した。



「(先輩が行きたい大学に受かるように、私も合格祈願します!先輩のこと、心の底から応援してますから!)」


「……うん。ありがと」


「(残りの高校生活も、素敵なものにしてくださいね。樹生先輩のお父さんも、きっとそう思ってます)」



……と。

そこまで文字を打って先輩に見せた時、私は改めて、とんでもないことに気が付いた。


 
< 181 / 475 >

この作品をシェア

pagetop