たとえ声にならなくても、君への想いを叫ぶ。
 


「栞?」



突然先輩を見つめたまま固まってしまった私に、先輩が怪訝な声を出す。


でも……だって。

先輩は、今日が三者面談だったのだと言っていた。


と、言うことは。

今日はお父さんと一緒に学校を出てきた訳で、普通ならその後ご飯に行くとか久しぶりに親子でゆっくり……みたいなことが出来たんじゃないの?



「(せ、先輩……、)」


「うん?」


「(きょ、今日、三者面談だったんですよね?ということは、お父さん、もしかしてお仕事お休みだったとかじゃ……?)」


「ああ、うん。なんか、ずっと有休とか使ってなかったから、案外、簡単に休み取れたみたい」


「(……っ、そ、それなら!!私のとこなんかに来ないで、三者面談終わった後に、お父さんとご飯とか……久しぶりにゆっくり出来たんじゃないんですか!?)」


「ああ……、ね。でも、それより何より、早く栞に報告に来たかったんだよね」


「……っ、」


「そればっかり頭にあったから、三者面談の後に父さんと食事とか、今気が付いた」



そう言うと、無邪気に笑った先輩の笑顔に再び胸が締め付けられる。


 
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