たとえ声にならなくても、君への想いを叫ぶ。
Pink(ナデシコ)
「よしっ、出来た!栞、よく似あってるわ!」
ポンッ!と、勢い良く背中を叩かれて、思わず前のめりになった身体に力を入れる。
着慣れないそれに息苦しさを覚えながら、後ろへと抗議の視線を送れば楽しそうに笑う瞳と目が合った。
「(もうっ!お母さん、痛いってば!)」
「あはは、ごめんごめん。それにしても、浴衣を着て彼氏とお祭りデートなんて〜。栞もやるわねぇ」
「(だ、だから彼氏じゃないってば……っ!!)」
「えー、でも栞は好きなんでしょう、彼のこと。顔に書いてあるもの」
「……っ、」
「素敵な子だものねぇ。お母さん、樹生くんが栞の彼氏になってくれるなら大歓迎~!」