たとえ声にならなくても、君への想いを叫ぶ。
「一緒に行くのは、栞ちゃん?」
「……ああ、うん」
頭を抱えて絶叫するタマとは裏腹に、柔らかな笑みを浮かべながら、そんなことを尋ねてくるアキに栞のことを話したのは、つい2週間前のこと。
……なんとなく。
なんとなく、アキには栞のことも父とのことも話しておきたかった、なんて言葉を添えて全てを話せば、その時もアキは嬉しそうに顔を綻ばせた。
「シオリ!?シオリって、どのシオリだよ!?俺の知らないシオリか!?」
「……お前がどの栞を知ってるのか、俺は知らないんだけど」
「キィーーー!!樹生の裏切り者っ!!この、エロティカ高校生っ!!今度は、どんなエロエロボディの女の子を騙してんだよ!!」
「……栞は、そういうんじゃないから」
「はぁ!?どの口が言うかね!そこらじゅうに、“怪しいオトモダチ”がいるくせにぃ!“清純”と、真逆の世界にいるくせにぃ!!樹生みたいな奴がいるから、俺みたいなロンリーマンが出てくるんだ!!キィーーー!!リア充、爆発しろ!!」
「あー……もう。タマ、落ち着けよ。タマには神輿があるじゃん。今年も、爺ちゃんと神輿担げばいいじゃん」
「アッキー、それ全然慰めになってねぇからっ!」