たとえ声にならなくても、君への想いを叫ぶ。
* * *
─── 約束の時間の30分前にはコーヒーショップに着き、アイスコーヒーを飲みながら時間を潰した。
窓際のカウンター席から駅の方へと視線をやれば、賑わう駅前には浴衣を着た女の子達がチラホラと見え始める。
正直なところ、夏祭りは苦手だ。
それは夏祭りに限らず、人混みというものが嫌いだから。
それなのに今回こうして夏祭りに行くこととなったのは、夏休みに入ってしばらくが経った頃の、栞とのあるやり取りが理由だった。