たとえ声にならなくても、君への想いを叫ぶ。
「こうやって、手、繋いでれば迷子にもならないでしょ?」
「……っ、」
「迷子になんて、絶対、しないけど」
そう言うと、一瞬だけ笑みを零した先輩は、何故か私に背を向ける。
突然向けられた背中につい戸惑って、慌てて先輩の隣に並べば、そんな私を先輩は視線だけで制した。
「……自分で言っといて、なんだけど」
「……?」
「俺も結構、照れる」
「……っ、」
言いながら、フイ、と、前を向いた先輩の耳が赤く染まる。
それに全ての意味を漸く理解した私も再び顔を赤くすれば、先輩はもう何も言わずに私の手を引き、改札へと歩き出した。
*
゚
*
+:
。
+
*
゚
『Pink(ナデシコ)』
純粋な愛・思慕