たとえ声にならなくても、君への想いを叫ぶ。
 


「……し、おり」


「(蓮司は、何もわかってない!!ば、か!!)」


「バ、バカ?バカって……俺は……っ」


「(馬鹿だよ!!蓮司は、大馬鹿っ!!だって、言って後悔するくらいなら、最初から言わなければいいのに!!)」


「……っ、」



私の言葉に眉を八の字に下げ、唇を引き結んだ蓮司。


……家が近所で、小さい頃から一緒にいた、私の唯一の幼馴染み。


声を出せていた時も、声が出なくなった時も、声が出なくなってからも。


蓮司はいつだって私の側にいてくれて、いつだって私を助けてくれた。


だからきっと、伝わる。伝わってる。


私が今、何を言いたいのかも。

私が今、何を伝えたいのかも。


だって私も─── 蓮司が今、どれだけ自分の言った言葉を後悔し、自分を責めているのか、手に取るようにわかるから。


 
< 229 / 475 >

この作品をシェア

pagetop