たとえ声にならなくても、君への想いを叫ぶ。
「(先輩は、私には勿体無いくらい素敵な人だから。側にいられるだけでも奇跡みたいな、そんな人なの)」
そこまで打った画面を蓮司に見せた後、私は静かに携帯をしまった。
眉根を寄せ、困惑したような表情を見せる蓮司へと笑顔を見せれば、蓮司はそんな私を見て、今度は悲しげに眉を下げた。
それを合図に、そっと、一歩後ろへ足を引く。
けれど、また学校でね、と。
そう、口の動きだけで蓮司に言葉を伝えて静かに振り向けば───
(え……?)
視界を埋めた事実に、今度は私が戸惑う番だった。