たとえ声にならなくても、君への想いを叫ぶ。
(樹生……先輩?)
振り向いた先、そこには先輩の姿はなくて。
その事実に心臓が早鐘を打つように高鳴って、慌ててキョロキョロと視線を動かせば、まるでそんな私の行動を見計らったかのように携帯が震えた。
【お祭り、楽しかった。息抜きに付き合ってくれて、ありがとう。今日は、このまま幼馴染みくんに送ってもらって。じゃあまた、夏休み明けに電車で】
「……っ、」
いつも通りの、絵文字も何もない、先輩らしいシンプルな文章。
それなのに、こんなにも胸が締め付けられるのは、暗闇にぼんやりと光る無機質な灯りが、やけに寂しく感じられるせいだろうか。
先程まで、先輩と過ごしていた甘い時間は、夏の夜の夢のように儚く消えてしまった。
─── 気が付けば、時刻は20時を指していた。
そんな、訪れた夜の早さに、高校3年生である先輩と過ごす時間があと僅かであることを、私はこの日、初めて自覚した。
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『Sunflower(ヒマワリ)』
あなただけを見つめる