たとえ声にならなくても、君への想いを叫ぶ。
「……朝から、こんな話したくないけど、聞いてくれる?」
弾けるように顔を上げれば、眉を下げ、憂いを帯びた表情で私を見つめる先輩。
儚さを纏った先輩のその空気に、今の今まで落ち込んでいた気持ちが焦りへと色を変える。
そんな私の瞳を真っ直ぐに見つめる先輩に恐る恐る頷けば、先輩は小さく「ありがとう」と言葉を零すと、ゆっくりと話を始めた。
「……前に少し話した通り、俺は女の子とはかなり曖昧な関係を持って、それすら自分で正当化しているような、最低な奴だった」
それは、先輩から初めて心の傷を打ち明けられたあの日。
先輩が自棄になって吐き出した、あのことを言っているのだろう。