たとえ声にならなくても、君への想いを叫ぶ。
「チェーッ……。わかったよー、しょーがないなぁ……」
何故かふてくされるタマに、アキは丁寧に進路表を返した。
……こうして客観的に見てみると、酷く対照的な二人だと思う。
タマは不真面目でバカだし、アキは真面目すぎるくらいに真面目で融通の利かない奴。
俺がこの二人と出逢ったのは高校に入学してからだけど、二人は幼馴染みだから二人にしかわからない絆や関係もあるんだろうけど。
「樹生(いつき)は!?樹生は、なんて書いたんだよ!?」
興味津々、といった様子で身を乗り出すタマへ、スマホへと落とした視線はそのままに俺は無言で進路表を差し出した。
これを見て、言われる言葉も大体想像がつくけれど。
「う、わっ。見事に私大の医学部オンリー……」
「どこも超ネームバリューがあって、超授業料高そう!!」
「まぁ……、授業料とかは俺には関係ないことだし。医者になれれば、俺は正直どこでもいいんだけどね」
「マジかよ!!進路表も嫌味だらけなら、発言も嫌味だらけなんですけど!!」
「……そういうこと言うと、次のテスト助けないよ?」
「ウソです!!すんません!!超素敵な進路表に、超素敵な考え方をお持ちですね、イツキ様!!!」