たとえ声にならなくても、君への想いを叫ぶ。
お調子者よろしく、そう言って素早く手のひらを返すタマを横目に、俺は持っていたスマホを制服のポケットへとしまった。
(……ちょっと、あからさまな言い方過ぎたかな)
思わずそんな風に反省したのは、騒がしいタマとは対照的に、目の前の真面目なお人好しが俺へと不安気な眼差しを向けていたから。
「樹生、あの……」
「アキは?」
「え、」
「アキは、進路表なんて書いたの?」
言葉を投げられるより先に質問をぶつけた。
そうすれば、アキは慌てた様子で律儀にファイルにしまわれた進路表を取り出した。
……こういう時は、アキのこんな真面目さに救われる。
「うわっ。アッキーもちゃんと書いてあるし!!」
「あー…うん。俺はさ、一応……スポーツ医学を学べる学校がいいかな、って思ってて。リハビリとか、トレーニングとか。そういう観点から、スポーツに関わっていけたらなー…って」