たとえ声にならなくても、君への想いを叫ぶ。
 


「この平塚 栞って女、どうにかなんねぇかなぁ」


「……っ、」



思わず肩を揺らし、弾けるように噂話をしている奴らの方へと振り返った。


勢い良く身体を動かしたせいで大袈裟に唸った椅子。


その音に反応した、噂話をしていた奴らもまた同様に、俺へと一斉に視線を向けた。



「え、何、相馬。ごめん、俺らうるさかった?」


「……いや、悪い。今の話、俺にも詳しく教えて」



今の今まで、というか普段は絶対にそんな噂話には興味を示さない俺が反応したとあって、ほんの少し動揺を見せたクラスメイトたち。


けれど、すぐに互いに目配せをし合うと、手に持っていた携帯電話を迷うことなく俺に手渡した。



 
< 272 / 475 >

この作品をシェア

pagetop