たとえ声にならなくても、君への想いを叫ぶ。
「……制服、汚れるから、貸して?」
「……っ、」
再び柔らかな声でそんなことを言った先輩は、私から黒板消しを奪うと無言で黒板に書かれた言葉を消していく。
先輩の手によって、ゆっくりと消されていく悪意。
それを呆然と見つめていれば、黒板はあっという間に不確かな白へと塗り潰された。
もう言葉も読めなくなった黒板をひたすらに見つめていると、隣でパンパンと手を払う音が聞こえた。
慌てて我に返れば、先輩は再びクラスメイトたちへと冷たい視線を向けていた。
「(せ、先輩……あの、)」
「……今度、こんな風にくだらないことしたら、同じ目に合わせてあげる」
「……っ、」
「意味わかるよね?正義の味方くん、たち?」