たとえ声にならなくても、君への想いを叫ぶ。
 


* * *




─── 授業中。

ポケットにしまった携帯を取り出そうと思って、同じ場所にしまった、あるものを手に取った。



(……返さなきゃ、まずいよな)



教科書に紛れさせながら机の上に置き、頬杖をついてそれを眺める。


視線の先には……一冊の、生徒手帳。


今朝のあの子が立ち去ったあと、俺の足元に落ちていたものだ。


これが、あの子のものだというのは容易に想像がつく、というか最初のページの顔写真だけ確認させてもらったから間違いない。


……思わず拾ってきてしまったけれど、どうしたものか。


あの子と同じ高校に、知り合いの子っていたかな。でも、女の子に頼むと、また面倒くさいことになりそうだし。



と。

ぼんやりとそんなことを考えていたら、ふと、あることに気が付いた。


 
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