たとえ声にならなくても、君への想いを叫ぶ。
確かにアユちゃんの言う通りだと思ったし、今のこの状態で先輩に会いに行っても、更に先輩に迷惑を掛けることになるかもしれないから。
だから私は、先輩に何度もメッセージを送った。
同じような内容の、返信を求めるメッセージを何度も何度も。
─── だけど、その全てに先輩からの返信がくることはなかった。
それどころか、【既読】のマークすら付かないことに、私の中で焦りばかりが大きくなっていく。
「─── 起立、礼。ありがとうございましたぁ」
「っ、」
「あ……、栞っ!!」
そうして、今までの学校生活で一番長く感じた一日を、学級委員長の挨拶と供に終えた私は、待ってましたとばかりに鞄を掴んで教室を飛び出した。
教室を出る瞬間、アユちゃんの焦ったような声が聞こえたけれど、それに答える時間すら惜しくて。
そのまま駆け足で学校を出た私は、駅向こうにある樹生先輩が通う男子校へと急いだ。