たとえ声にならなくても、君への想いを叫ぶ。
 


「ソウマくん、ね。知ってる知ってる、連れてってあげるよ〜。着いておいで〜」


「(あ、あの……っ、)」


「ん〜?どうしたの?“ソウマ タツキ”っしょ?大丈夫大丈夫。知ってるし、俺マブだから任せてよ〜」


「っ、」



言いながら、突然肩に腕を回されて、反射的に身体が強張った。


その上、たった今この人が口にした名前に、頭の中で警告音が鳴る。


だって、この人は先輩の名前の【樹生】を、【タツキ】と読んだけれど、先輩の名前は【イツキ】だ。


その上、先輩のことをマブ、だなんて。


先輩の口から聞かされたことのある先輩の友達の名前は3人だけ。


親友である“アキさん”と“タマさん”、そしてアキさんの彼女である“マリさん”だけだ。


 
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