たとえ声にならなくても、君への想いを叫ぶ。
「……っ、」
グッ、と。掴まれた肩に力が込められ、思わず眉を顰めて両足に力を込めた。
着いていったらいけない、これで何かあれば重ねて先輩に迷惑を掛けることになるじゃない。
そう思ったら、こんな風に躓いている自分が情けなくて悔しくて、思わず泣きたくなってしまう。
「(い、痛い……っ。離して……っ)」
「大丈夫、大丈夫〜。すぐ連れてってやるからぁ、なんだっけ?えーと……ナンダカさんのとこにぃ〜」
時間がないのに……こんな時にまで二の足を踏んでしまう自分の鈍臭さに嫌気が差す。
それでも今はどうにかしてこの人から逃げなきゃと思考を巡らせたのだけれど、男の人の力には到底叶いそうもなくて。
俯き、イヤイヤと必死に首を振れば盛大な舌打ちが聞こえ、今度は強引に腕を引かれる。
その行為に今度こそ涙が零れそうになって、思わず唇を噛み締めれば───
「─── そこのキミ。弱い者いじめは、やめたまえ」
突然聞こえたその声が、俯いていた私を救ってくれた。