たとえ声にならなくても、君への想いを叫ぶ。
Clematis(クレマチス)
「マジで!そいつ、超殴りてぇ……!!」
「ホントに、最低だね……。栞、大丈夫?」
まだ騒がしい朝の教室で、そう声を掛けてくれたのは幼馴染みの"蓮司(れんじ)"と、親友である"アユちゃん"。
なんとか無事に間に合った図書委員の仕事を終え教室に入ると、私は仲良く話していた二人に、いつも通り声を掛けた。
だけど、なんとなく様子の違っていたらしい私に目敏く気付いたのは、蓮司だ。
何かあったのかとしつこく聞かれて、結局朝の出来事を伝えることとなった。
「マジで、今からでも殴りに行きたいくらいだし!!」
「でもさ、その人が助けてくれてホントに良かったねー。王子様じゃん、まさに」
指をパキパキと鳴らす戦闘態勢な蓮司とは裏腹に、うっとりと目を細めたアユちゃんは、今日も綺麗に巻かれた髪を指でクルクルと弄んでいる。
スタイル抜群で、所謂(いわゆる)お姉様系な見た目をしたアユちゃんは姉御肌で優しくて。
どこからどう見ても美人の分類でしかない彼女は、私の自慢の親友だ。