たとえ声にならなくても、君への想いを叫ぶ。
「……、」
視線を落としたままの俺を真っ直ぐに見つめる、父の強い視線を旋毛(つむじ)辺りに感じて心臓が軋んだ。
栞のお陰で父と和解したあと……父は父なりに、俺に歩み寄ろうとしていたことを知ってる。
部屋に置かれた観葉植物だってそうだし、定期的に調子はどうだと連絡してくるようになった。
そんな父との関係に照れくささを感じていた自分も、縮み始めたその距離を心地よく思っていることを、明確に自覚するほどに。
だけど、今回の一件で、また父との距離は遠ざかってしまったかもしれない。
父は父なりに、自分の母校を推薦で受験しようとしている俺を誇らしく思ってくれていたんだ。
それなのに、俺はそんな父の期待を裏切ってしまった。
自分がやってしまったことに、後悔はない。
だけど、父を落胆させてしまったことは───
「……何か、訳があったんだろう?」
後悔してもし足りないくらい、後悔してる。