たとえ声にならなくても、君への想いを叫ぶ。
 


「っ、」


「お前は……昔から俺に似て、自分の感情のコントロールが上手いようで実は下手だが……、だからといって、何の理由もなく人を殴るような人間でもない」


「……父、さん」


「まぁそれでも、例えどんな理由があっても人を殴るのはダメだがな。そこは、素直に反省しなさい」



父からの、予想もしなかった言葉に、こめかみを殴られたような気分だった。


「さぁ、帰るぞ」と、再びぶっきらぼうに言って歩き出した父の背中を見て、胸の中に熱い何かが込み上げる。


─── わかってもらえるなんて、少しも思っていなかった。


わかってほしいだなんて、少しも思っていないと自分に言い聞かせていた。


だけど本当は─── 父に、自分をわかってもらいたかったんだと思い知る。


周りになんと思われて、周りをどれだけ落胆させようと、関係無かった。


それでも俺は、今目の前にいる、父にだけは誤解されたくないと思ってたんだ。


 
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