たとえ声にならなくても、君への想いを叫ぶ。
ハッキリとそう言われてしまえば、逃げることなどできないくらいに心は軋み、降りかかる悲しみに抗うこともできなくて。
だけど、だとしてもそれは私の感情の問題で、それ以上しつこくお願いすることは、アキさんにも樹生先輩にも迷惑でしかないのだと悟った。
本当は、樹生先輩に会いたくてたまらない。
先輩のことが心配でたまらないし、先輩の顔を見るまでは胸に蔓延る(はびこる)不安は拭えそうにないから。
そしてもし会えたら、今更謝っても意味がないけれど何度でも謝りたかった。
私のせいで、私を庇ったせいで折角の推薦をダメにしてしまってごめんなさい。
たくさん迷惑を掛けてしまって本当にごめんなさいと、直接謝りたかったのに。
「俺からは詳しくは話せないけど……でも、受験のことも含めて樹生は前向きに動いてるから。だから、今は……少しだけ待ってやってもらえるかな?」
だけど、その全ては私のエゴでしかなく、アキさんの言葉を聞いて、先輩はもう、私とは関わりたくないのだと気が付いた。
優しい先輩とアキさんは、それをハッキリと私に言うのは憚られた(はばかられた)のだろう。
だとしたら、私に出来ることはたった一つだ。
諦めることが、今の私にできる最良のことなのだと、私は今更になって気付かされたんだ。