たとえ声にならなくても、君への想いを叫ぶ。
 


* * *





「……栞、平気か?俺、部活休んで一緒に帰ってやろうか?」



─── そうして、迎えた放課後。

一人で帰り支度をしていた私の元へ、蓮司が心配を浮かべた表情でやってきた。



「アユはバイトで帰っちまったし、お前一人でまた、なんかあったらさ……。それに、ほら!お前になんかあったら、おばさんが……心配するし」


「だから、な?」と、照れくさそうに視線を逸らした蓮司を見て思う。



(……蓮司は、優しいなぁ)



普段は口が悪くてうるさいけれど、二人きりの時は滅多なことでは大きな声も出さない。


私が少しでも落ち込んでいると今のように必ず気遣ってくれて、たくさん笑わせてくれる。


幼馴染み、というより兄妹といったほうが、私達の関係はしっくりくるのかもしれない。


そんな蓮司を前に私はポケットから携帯を取り出すと、素早く文字を打ち込んで蓮司の方へと画面を向けた。


 
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