たとえ声にならなくても、君への想いを叫ぶ。
 


* * *




「……Iの10-10、か」



栞からのメッセージを読んだ翌日、俺は図書館へと向かった。


以前は家から徒歩5分圏内だったその場所も、今住んでいる場所からは、幾分遠退いてしまったこともあり、来るのも久しぶりで。


けれど、一番は栞に遭遇する可能性が高いから、なるべく寄り付かないようにしていたことが理由。


それなのに今日、こうして図書館に足を運んだのは昨日読んだ栞からのメッセージのためだった。


“これで最後にします”


そんな言葉から始まった栞からのメッセージの内容は、こうだった。



【これで最後にします。
何度も連絡してしまって、本当にすみません。
今日は、最後に一つだけ、私のワガママをどうしても聞いてほしくて連絡させてもらいました。

以前、先輩と良く一緒に行っていた図書館で、ある本を探してほしいんです。
その本に、今の私から先輩へ贈る、最大級の想いを残しておきました。
本当に、もうこれっきりにします。なので、どうか最後に、このワガママだけは叶えてくれませんか……?

探してほしい、その本の名前は─── 】



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