たとえ声にならなくても、君への想いを叫ぶ。
Shepherd’s purse(ナズナ)
17年という人生の中で最も儚くて、苦しくて、どうしようもないくらいに優しかった、樹生先輩との温かい日々。
その温もりと離れたまま気が付けば年を超え、短かった冬休みは終わり、いつも通りに始まった3学期も足早に通り過ぎた。
今日は3月20日、3学期の修了を告げる終業式。
今日で、高校2年生としての学校生活が終わろうとしている。
相変わらず長い校長先生の話をどこか遠くで聞きながら、ああ、今度学校に来る時には自分はもう高校3年生なんだな……なんてことを他人事のように考えた。
私達の一学年上だった3年生を送り出す為の卒業式で、先輩達が涙と共に卒業していくのを見送ったのが3月1日。
この地域では、3月1日に卒業式が行われるのが通例だ。
─── きっと例外なく、樹生先輩も同様に高校を卒業したのだろう。