たとえ声にならなくても、君への想いを叫ぶ。
「栞、今日はもう帰るの?」
担任の先生からの、1年分の想いの篭った挨拶すら耳に入ってくることもなく終えた、私の高校2年生。
私の心情を察してか、どこか切なげに眉を下げたアユちゃんと蓮司の2人が、帰り支度をしていた私に声を掛けてくれた。
そんな2人に、1年分の「ありがとう」を込めて笑顔を見せれば、驚いたように目を見開かれる。
きっと2人は、未だに私が樹生先輩のことを引きずっているのだと、気にしてくれているんだと思うけど。
「(今日は、久しぶりに図書館に寄って帰ろうかと思って)」
「え……、図書館に?」
「(うん。……今日で、全部終わりにするために)」