たとえ声にならなくても、君への想いを叫ぶ。
言いながら、再び笑顔を見せればアユちゃんは更に驚いたように目を見開き、対照的に蓮司は瞳に強さを宿して、私を真っ直ぐに見つめた。
「……いいのか、栞。本当にそれで。後悔、しないか?」
蓮司の問いに、持っていた通学鞄の紐をきつく握り締めた私は、最後の一滴となった期待さえも振り落すように、一度だけ小さく頷く。
「(……後悔は、ないよ。だから今日で全部、終わりにする)」
「……本当か?」
「(うん。もう、今日で最後にしようって、そう決めたから)」
胸に誓った決意を更に強いものにするために、改めて言いながら蓮司を見れば、そんな私を見て蓮司は諦めたかのように口元を緩めた。
─── 私は今日、3ヶ月ぶりに先輩との思い出の詰まった図書館へ行く。
だけどそれは、先輩に会いたいからじゃない。
今日という日を最後に、樹生先輩への想いと思い出に一つの区切りをつけるために、私はもう一度図書館へ行くのだ。