たとえ声にならなくても、君への想いを叫ぶ。
 


(……、)



3ヶ月ぶりに手に取った、その本。


少しも変わることなく、綺麗な装丁のされたその本を持ちながら、小さく息を呑む。


3ヶ月前、私は確かに一か八か。ここに、先輩への精一杯の気持ちを残した。


残したのは一枚のシオリと、手作りの小さなお守り。


どうしても伝えたかった……贈りたかった、あの時の私の“最大級の気持ち”だ。


けれどその本は、あの日、私が挟んだシオリとお守り、それらを挟む前の元々の姿に戻っていて。



(……先輩、が?)



心の中でそう思っても、それを確かめる術(すべ)はない。


もしかしたら、他の人が先輩よりも先にこの本を借りてしまい、挟まれていたシオリとお守りは忘れ物か何かと思って、処分されてしまった可能性もある。


 
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