たとえ声にならなくても、君への想いを叫ぶ。
 


(樹生……先輩っ、)



好き。先輩のことが、大好きだった。


本当は先輩に、大好きだと伝えたかったの。


何度も、何度も。


例え叶わなくてもいいから、この気持ちだけは伝えたいと、そう思っていた。


声も出ない、なんの取り柄もない私が、先輩に恋心を抱くなんて、それだけで分不相応だということは痛い程わかってる。


それでも。それでも───


私は、そんなことすら忘れてしまうくらいに、先輩のことが大好きだったから。


 
< 437 / 475 >

この作品をシェア

pagetop